昼前、10時くらいに起きて昼飯の準備をした。
片付けももちろんいちの仕事で、父様と母君は職場に戻った。
13時30分あたり、2階で本を読んでいたらじい様が常に無い慌てようでいちを呼ぶ。
「ばァが変だ」
具合がまた悪くなったのかと思ったけど、その慌て方が本当に見たことも無いくらいだったから急いで駆けつけた。
布団に妙な形で横たわっているばあ様は、もうアノ顔だった。
少しだけ開いた唇が真っ青で、
薄目が開いていて、
曾ばあ様のときと、母方のじい様のときと同じアノ顔。
見た瞬間解かった。もうだめだ。
信じたくなくて身体を揺さぶった。起こそうとした。呼んだ。
脈を取ろうと首に手を当てた。暖かい。
でも脈は感じられない。
額に触った。
もう冷たかった。
「救急車呼ばないと」
いえない。じい様にもう死んでるなんて言えない。
それにもしかしたら蘇生が間に合うかもしれない。
だから救急車を呼んだ。
初めて119に電話をかける。
頭が真っ白だった。
心臓がおかしくなりそうなほどばくばく鳴っている。
でもここにはじい様といちしかいない。しっかりしないとだめだ。
番地と誰がどういう状態なのかを伝えるよういわれた。
脈も無い。息も無い。
ばあ様の生年月日と年齢もきかれた。
まさか年寄りだから諦めろとでもいうのだろうか、と密かに思う。
10分くらいで救急車が来た。
心臓マッサージと酸素吸入。
でも指先は既に硬直し始めているように見えた。1年前にも見たことのある、固まりかけた指先。
死後硬直なんて言葉がぐるぐるまわる。本の中でよく見る言葉。
身体はぐったりしてて、顔は血の気なんて何処にも見えず、見るからにそれは死んだ人なのに処置を施す隊員をはっきりしない頭でぼんやりと見る。この人たちもきっと解かっているんだろうなと思う。どこか頭の奥のほうで蘇生する可能性は絶望的だと解かっていた。
おろおろするじい様を残して、父様に連絡を取ろうと外に出た。
救急車の到着で近所の人が覗いていたので、まさか本当のことを電話口で叫ぶわけにもいかずただ大変だからすぐに来いとだけ伝える。
すぐ近くにいたおばさんにもそれは聞こえていた。
今日は非番だったらしい近所の看護婦のTさんが隊員の手伝いをしてくれた。
マッサージと酸素吸入に点滴が加わる。
手伝いをしながら意識は別のことを考えていた気がする。
Tさんは隊員の手際が悪いといっててきぱきと搬送の準備を整えていく。
じい様は救急車に乗って病院まで付き添う。
いちは残って父様を待たなければならない。
搬送されていった後、Tさんはばあ様は多分助からないだろうからと病院に行くときにはパジャマやタオルの準備をするよういった。
解かってはいても他人の口から聞かされると重々しい。
蒸し暑い中、いわれたものを用意していると父様が帰ってきた。
顔を見たら安心した。漸く涙が出た。
でも容態を知っているのは病院に行ったじい様といちだけだ。
じい様だって動転しすぎていて解かっていないかも知れない。
父様は何も知らない。いちが知らせていない。
どういっていいのか解からなかった。
途中、母君を拾って病院へ行く。
市内に住む叔父にも連絡をし、病院へ呼んだ。
電気ショックやらなにやら試したが、結局心臓停止から時間が経っていた為にばあ様は終わった。
時刻は14時30分
いちはこれで3年続けて身内を無くした。
片付けももちろんいちの仕事で、父様と母君は職場に戻った。
13時30分あたり、2階で本を読んでいたらじい様が常に無い慌てようでいちを呼ぶ。
「ばァが変だ」
具合がまた悪くなったのかと思ったけど、その慌て方が本当に見たことも無いくらいだったから急いで駆けつけた。
布団に妙な形で横たわっているばあ様は、もうアノ顔だった。
少しだけ開いた唇が真っ青で、
薄目が開いていて、
曾ばあ様のときと、母方のじい様のときと同じアノ顔。
見た瞬間解かった。もうだめだ。
信じたくなくて身体を揺さぶった。起こそうとした。呼んだ。
脈を取ろうと首に手を当てた。暖かい。
でも脈は感じられない。
額に触った。
もう冷たかった。
「救急車呼ばないと」
いえない。じい様にもう死んでるなんて言えない。
それにもしかしたら蘇生が間に合うかもしれない。
だから救急車を呼んだ。
初めて119に電話をかける。
頭が真っ白だった。
心臓がおかしくなりそうなほどばくばく鳴っている。
でもここにはじい様といちしかいない。しっかりしないとだめだ。
番地と誰がどういう状態なのかを伝えるよういわれた。
脈も無い。息も無い。
ばあ様の生年月日と年齢もきかれた。
まさか年寄りだから諦めろとでもいうのだろうか、と密かに思う。
10分くらいで救急車が来た。
心臓マッサージと酸素吸入。
でも指先は既に硬直し始めているように見えた。1年前にも見たことのある、固まりかけた指先。
死後硬直なんて言葉がぐるぐるまわる。本の中でよく見る言葉。
身体はぐったりしてて、顔は血の気なんて何処にも見えず、見るからにそれは死んだ人なのに処置を施す隊員をはっきりしない頭でぼんやりと見る。この人たちもきっと解かっているんだろうなと思う。どこか頭の奥のほうで蘇生する可能性は絶望的だと解かっていた。
おろおろするじい様を残して、父様に連絡を取ろうと外に出た。
救急車の到着で近所の人が覗いていたので、まさか本当のことを電話口で叫ぶわけにもいかずただ大変だからすぐに来いとだけ伝える。
すぐ近くにいたおばさんにもそれは聞こえていた。
今日は非番だったらしい近所の看護婦のTさんが隊員の手伝いをしてくれた。
マッサージと酸素吸入に点滴が加わる。
手伝いをしながら意識は別のことを考えていた気がする。
Tさんは隊員の手際が悪いといっててきぱきと搬送の準備を整えていく。
じい様は救急車に乗って病院まで付き添う。
いちは残って父様を待たなければならない。
搬送されていった後、Tさんはばあ様は多分助からないだろうからと病院に行くときにはパジャマやタオルの準備をするよういった。
解かってはいても他人の口から聞かされると重々しい。
蒸し暑い中、いわれたものを用意していると父様が帰ってきた。
顔を見たら安心した。漸く涙が出た。
でも容態を知っているのは病院に行ったじい様といちだけだ。
じい様だって動転しすぎていて解かっていないかも知れない。
父様は何も知らない。いちが知らせていない。
どういっていいのか解からなかった。
途中、母君を拾って病院へ行く。
市内に住む叔父にも連絡をし、病院へ呼んだ。
電気ショックやらなにやら試したが、結局心臓停止から時間が経っていた為にばあ様は終わった。
時刻は14時30分
いちはこれで3年続けて身内を無くした。
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